忘れかけていた大切なこと
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この夏、日本語で読んだ本の中から、感銘を受けたものを一冊。「忘れかけていた大切なこと 渡辺和子著」

私の母校の大先輩にあたる著者。聖心女子大学を卒業後、上智大学の大学院を経て、修道院へ入り、ノートルダム清心女子大学の教授、学長を務めた後、現在ノートルダム清心学園の理事をされている渡辺和子先生のエッセイ集です。

心に残るページを折りながら読んでいたら、あっという間に折り目だらけになってしまいました。

その中でも、印象に残ったのが、「苦しみでなくなるように」という話。「苦しみ『が』なくなるようにと願うのではなく、苦しみ『で』なくなるように心がける」。苦しみ自体を無くすことは出来ないし、苦しみはどこにいても、何をしても、人間について回るもの。だからこそ、この生きにくい世を、少しでも生きやすく自分で工夫するべきだという著者。私は、見事に、苦しみ(というより、人生における障害は全て)『が』なくなるよう、常に願っていた一人....。『が』を『で』に変える発想は、全く思いつきませんでした。

そして、ある家庭の話。ある朝、中学生の息子が朝食もそこそこに家を飛び出して行くのですが、その際、床に置いてあった灰皿を蹴飛ばしてしまい、あたりは灰だらけに。
 
ある家庭では、
息子は「こんなところに灰皿を置いてるのが悪い」と叫び
父は「お前がギリギリまで寝ていて、急いで出て行くからだ」と叫び返し、
母は「あなたが、床の上に置きっぱなしにしているから」と畳み掛ける。

また、ある家庭では、
息子が「ごめんなさい」と言って、家を出て
父は「出したままにしておいてすまない」と謝り返し、
母も「私が片付けておけば良かった」と謝る。

言い訳をせず、すぐに「詫びる心」や「譲る心」は、忙しい日々の中では、つい忘れてしまいがち。それでも、お互いがすぐに詫びたことで、一方の家庭は、家族全員が清々しい気持ちで一日を始め、一方の家庭は、それぞれが怒りの感情を抱えることに。たった、一言。それだけで、お互いの一日を良くも悪くも変えてしまうのです。

私の場合、間違いなく、前者。朝の忙しい時に、子供がミルクをひっくり返したりしたら、「私が手伝ってあげなかったから」とは、絶対言えません....。

読後は、いかに「忘れかけていた大切なこと」がたくさんあるかに驚かされます。しかも、どれもこれも、今気付いて良かったと思えることばかり。明日からは、もっと優しい日々を送ることが出来ると、自信がつく一冊です。

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by satchi_nakajima | 2008-08-29 14:09 | Book Club
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